害獣は勝手に捕まえていい?鳥獣保護管理法のきまりと自治体の相談窓口

木目のテーブルの上に、表紙が無地の閉じたファイル、ボールペン、メモ帳、スマートフォンが置かれた俯瞰写真 害獣駆除コラム

屋根裏にすみついたハクビシンに毎晩起こされていると、「自分の家の中のことなのだから、こちらで捕まえてもかまわないのでは」と考えたくなります。けれども日本では、野生の鳥や獣を捕まえることは法律で原則として禁じられており、家の中にいる動物であっても、種類によっては許可がなければ手を出せません。

この記事では、e-Gov法令検索の条文と環境省・自治体の公開資料をもとに、鳥獣保護管理法の対象になる動物とならない動物、許可の仕組みと申請の流れ、アライグマに関わる外来生物法、どこの窓口に相談するかを整理します。

この記事でわかること

  • 鳥獣保護管理法が何を禁じていて、どんな例外があるか
  • 家ネズミと野生の動物とで、法律上の扱いがどう違うか
  • 被害を理由に許可を受けるときの条件と、申請の流れの例
  • 保健所・市区町村・都道府県のどこに相談すればよいか

鳥獣保護管理法はどんな法律か

正式な名前は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(平成14年法律第88号)です。以前は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」という題名で、平成26年の改正で「管理」の文字が加わり、平成27年5月29日に完全施行されました。

この法律でいう「鳥獣」は、鳥類または哺乳類に属する野生動物です(第2条第1項)。そのうえで第8条は、鳥獣の捕獲や殺傷、鳥類の卵の採取を原則として禁じています。例外は、第9条の許可を受けた場合、第11条により狩猟鳥獣を捕る場合、第13条の環境省令で定める場合です。

家に入る動物は、法律上どう扱われるか

法律の上では、動物ごとに扱いが分かれます。

動物鳥獣保護管理法での扱いほかに知っておきたいこと
ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ対象外(第80条の適用除外。環境省は「いえねずみ類3種」と説明)中野区・堺市などでは保健所が相談先
ハクビシン・タヌキ・アナグマ狩猟鳥獣狩猟期間・狩猟免許などのルールの外で捕るには許可が要る
イタチオスは狩猟鳥獣、メスは狩猟鳥獣ではない大阪府は、イタチを捕るには市町村長の許可が要ると案内
アライグマ狩猟鳥獣外来生物法による規制もかかる
アブラコウモリ狩猟鳥獣ではない京都市の研究所の資料では、保護された野生動物のため捕獲・殺処分はできないとしている

出典:e-Gov法令検索 鳥獣保護管理法第80条、環境省「鳥獣保護法の概要」「狩猟制度の概要」、東京都・大阪府・京都市の公開資料(確認日 2026-10-24)

狩猟鳥獣は、施行規則で選ばれた鳥獣です。環境省の一覧には、獣ではタヌキ、イタチ(雄)、アナグマ、アライグマ、ハクビシンなど20種類が並んでいます。ただし狩猟鳥獣だからといって、いつでも誰でも捕ってよいわけではありません。狩猟には都道府県知事の狩猟免許と、狩猟をする都道府県への登録が要ります。狩猟期間も決まっていて、北海道以外の一般の区域では11月15日から翌年2月15日までが基本です。

被害を理由に捕るには「許可」が要る

家や庭の被害を防ぐために動物を捕るときは、第9条の許可を受けるのが基本の道筋です。許可を出すのは、国指定鳥獣保護区の中や希少鳥獣、かすみ網を使う場合が環境大臣、それ以外は都道府県知事です。環境省によると、多くの都道府県が知事の権限の一部を市町村長に移しているため、実際の窓口は市区町村になっていることが少なくありません。

許可の条件は自治体ごとに定められています。大阪市は「被害等が生じているか又はそのおそれがあり、防除対策によっても被害の防止、軽減がはかれない場合」に申請できるとし、名古屋市も捕獲以外の方法で被害を防げない場合の例外だと説明しています。

大阪市の例では、次の順に進みます。

  • 申請するのは、実際に捕獲する本人(第三者に頼むときは依頼書を添える)
  • 申請書・従事者名簿・被害状況の調査書・実施計画・区域の地図などを出す(自分の土地での生活被害なら一部を省略できる)
  • 捕獲の際は許可証か従事者証を持ち歩き、道具には住所・氏名などを表示する(大阪府)
  • 期間が終わったら30日以内に許可証を返し、捕った種類と数を報告する

許可を受けずに狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕ったときや、狩猟期間の外に狩猟鳥獣を捕ったときなどには、1年以下の拘禁刑または罰金の罰則があります(第83条第1項)。未遂も罰せられます(同条第2項)。

許可がなくても捕れる例外の読み方

第11条第1項には、狩猟期間内に狩猟可能区域で行う場合に限って、第9条の許可なしで狩猟鳥獣を捕れる場面が書かれています。その一つが「垣、柵その他これに類するもので囲まれた住宅の敷地内において銃器を使用しないでする狩猟鳥獣の捕獲等」です。

もっとも、この例外は狩猟鳥獣だけ・狩猟期間内だけが前提で、イタチのメスやコウモリにはあてはまりません。自分の家の状況が例外にあたるかどうかを自分で決めつけず、都道府県や市区町村の窓口で確かめてから動くのが無難です。

アライグマは外来生物法も関わる

アライグマは、外来生物法で特定外来生物に指定されています。環境省によると、特定外来生物は飼育・保管・運搬(まとめて「飼養等」)、輸入、野外に放つことなどが原則として禁じられています。野外で捕まえた個体を持ち帰ることも運搬にあたるとされています。

一方で、都道府県が「防除の公示」をした防除や、市町村などが「防除の確認・認定」の手続きをとった防除として行う場合には、鳥獣保護管理法の捕獲許可を受けずに実施できる仕組みがあります。自治体の防除の進め方は、アライグマを扱う別のコラムで説明しています。

相談はどこにするか

困りごと主な窓口資料での案内の例
ネズミ保健所(生活衛生の担当)中野区は保健所が担当。粘着シートなどの配布はあるが、区の事業としての駆除はしていないと案内
ハクビシン・アライグマなど市区町村の環境部署・清掃部署東京都環境局がまずの問い合わせ先として案内
捕獲の許可市区町村、または都道府県大阪市は動物管理センター分室、名古屋市は市長が57種の許可を出す

出典:中野区・東京都環境局・大阪市・名古屋市の資料(確認日 2026-10-24)

自治体が家の中まで来て作業をしてくれるとは限りません。東久留米市は市による捕獲はしておらず、専門の業者を紹介していると案内しています。どこまで手伝ってもらえるかは自治体ごとに違うので、次のことをメモして問い合わせましょう。

  • どの動物か(見当がつけば。写真があればなおよい)
  • 被害の中身と場所、気づいた時期
  • 持ち家か賃貸か
  • これまでに試した追い出しや侵入口の手当て

よくある質問

ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種は、第80条により鳥獣保護管理法の対象外とされているため、この法律の許可は要りません。市販の製品を使う場合は、製品の表示に従ってください。野ネズミなど家ネズミ以外の種類は法律の対象です。

自治体によって手続きが違います。大阪市は捕獲する本人が申請し、第三者に頼むときは依頼書を添えるとしています。名古屋市は、本人が申請する方法と、業者に申請と捕獲を任せる方法の両方を案内しています。頼む前に、許可の手続きをどう進めるかを業者と窓口の両方に確かめましょう。

東久留米市は、住宅街をうろついているという理由だけでは予防のための捕獲はできないと案内しています。まずは庭木の果実や生ごみなどエサになるものを片付け、家への入り口になりそうな破損箇所をふさぐことから始め、被害が出たら市区町村の窓口に相談してください。

まとめ

  • 野生の鳥や獣を捕ることは、鳥獣保護管理法で原則として禁じられている
  • 家ネズミ3種は法律の対象外。ハクビシンやイタチ、コウモリといった動物は許可が必要になるのが基本
  • 許可の窓口は市区町村に移っていることが多く、条件は自治体ごとに決まっている
  • アライグマは外来生物法の特定外来生物で、運搬などにも決まりがある
  • 何の動物か・どこから入ったかを確かめ、保健所や市区町村の窓口、専門の業者に相談する

参考にした資料

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