マウスピース矯正中の食事と歯磨き|外す・磨く・戻すの流れと虫歯対策

明るいダイニングテーブルに和定食のトレーと、手前に透明なマウスピースを入れた白いケースと歯ブラシが置かれた写真 マウスピース矯正コラム

取り外しできるマウスピース型の矯正装置は、食事のたびに外して、食べ終わったら歯を磨いてから着け直すのが基本の流れです。毎日のことなので、外食や間食、飲み物の扱いで迷う人も多いのではないでしょうか。

この記事では、厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」と、日本歯科医師会・日本矯正歯科学会の一般向け資料をもとに、食事の前後の流れと治療中のむし歯対策を整理します。装着時間や飲食のルールは医院ごとに指示が異なるため、最終的には主治医の説明に従ってください。

この記事でわかること

  • 食事のときにマウスピースを外す理由と、外す・磨く・戻すの流れ
  • むし歯ができるしくみと、装置を着けている時期に気をつけたい点
  • 飲み物・間食・寝る前の飲食の考え方
  • フッ化物配合歯磨剤と歯間清掃用具の使い方の目安

食事のときに外すのが前提の装置

日本矯正歯科学会は、マウスピース型矯正装置についての見解の中で、取り外しができて食事や歯磨きがしやすい点を利点に挙げています。ワイヤーを歯に固定する装置と違い、食べるときは外せるので、食べ物の制限は比較的少なくなります。

一方で、同じ学会の治療指針は、治療の結果が装着時間に左右されることを留意点に挙げています。外している時間が長くなると、計画どおりに歯が動かないおそれがあるということです。何時間着けるかは医院が指示する時間を守るのが原則で、食事の時間をだらだらと延ばさない工夫が大切になります。

外す・磨く・戻すの基本の流れ

  • 食べる前に装置を外し、医院から案内された方法で保管する
  • 食事はなるべく時間を決めて、まとめてとる
  • 食べ終わったら歯ブラシで歯を磨き、歯と歯の間はフロスや歯間ブラシで清掃する
  • 口の中に食べかすが残っていないことを確かめてから装置を戻す

ポイントは、磨いてから戻すという順番です。食べるたびにこの流れを繰り返すので、職場や学校にも歯ブラシとフロスを置いておくと続けやすくなります。装置そのものの洗い方や保管のしかたは、医院の指示に沿って行いましょう。

むし歯ができるしくみ

e-ヘルスネットによると、むし歯は、歯の表面のプラーク(歯垢)にいる細菌が飲食物の糖分を分解して酸を出し、その酸で歯が溶かされること(脱灰)で起こります。唾液には酸を中性に近づけ、溶けかけた歯を修復する(再石灰化)働きがあります。糖分をとる回数が多く、唾液による修復が追いつかない状態が続くと、むし歯になります。

むし歯ができやすいのは、奥歯の溝、歯と歯の間、歯ぐきに近い部分です。いずれもプラークを落としにくい場所とされています。

装置を着けている時期に気をつけたいこと

マウスピースは歯の面を覆う装置です。磨き残しや甘い飲み物が残ったまま着け直すと、プラークや糖分が歯に触れたままになりやすいと考えられます。日本歯科医師会も、矯正装置を長く着ける治療ではむし歯や歯ぐきの炎症が起こる可能性があるとして、歯科医師らによる清掃指導や食習慣の指導を受けることを勧めています。

飲み物・間食・寝る前の考え方

e-ヘルスネットは、むし歯予防には砂糖の総量を減らすことと、とる回数を減らすことの両方が大切だとしています。甘い飲み物を少しずつ長い時間かけて飲むこともリスクを高めるため、水やお茶に変えることが挙げられています。

場面考え方
装置を着けているとき口にしてよい飲み物は医院の指示に従う。迷ったら外してから飲む
間食回数が増えるほど歯が酸にさらされる時間が増える。食べたら磨いて戻す
甘い飲み物少しずつ長時間飲むのは避け、水やお茶を選ぶ
寝る前寝ている間は唾液が減るため、寝る前の飲食は控え、就寝前の歯磨きをていねいに

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「甘味(砂糖)の適正摂取方法」「ライフステージ別にみたむし歯の特徴」をもとに作成(確認日 2026-10-19)

キャンディーやガムを選ぶときは、成分表を見てキシリトールなど砂糖以外の甘味料を使ったものを選ぶのも一つの方法と紹介されています。ただし、装置を着けたままガムをかんでよいかは別の話なので、医院に確認しましょう。

歯磨きのしかたの目安

e-ヘルスネットは、歯磨きだけでプラークを毎日完全に取り除くのは現実には難しく、フッ化物の利用を組み合わせることが必要だとしています。6歳以上・成人向けに示されている使い方は次のとおりです。

項目6歳〜成人・高齢者の目安
濃度フッ化物イオン濃度 1,400〜1,500ppmF の歯磨剤
量歯ブラシ全体(1.5〜2cm)程度
回数就寝前を含め1日2回
磨いたあと歯磨剤を軽くはき出す。うがいをする場合は少量の水で1回のみ

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」(確認日 2026-10-19)

歯ブラシは歯の表裏やかみ合わせの面には向いていますが、歯と歯の間の清掃には十分ではありません。すき間の小さいところはデンタルフロス、すき間のあるところは歯間ブラシが便利です。セルフケアで落としにくい部分は、歯科医院での専門的な清掃も活用しましょう。

外出先で磨けないとき

日本矯正歯科学会のQ&Aでは、矯正治療中に外食するときは歯ブラシを持参すること、磨くのが難しい場面ではうがいをすることが勧められています。e-ヘルスネットでは、洗口液は外出などで歯磨きができないときにも使えるものとして紹介されていますが、あくまで歯磨きを助けるものです。帰宅後や次の機会に、ていねいに磨き直しましょう。

主治医に確かめておきたいこと

  • 1日に何時間装置を着けるよう指示されているか
  • 装置を着けたまま飲んでよいもの・外してから飲むもの
  • 外出先で磨けないときの対応
  • 治療中の定期的なクリーニングやフッ化物塗布の予定

よくある質問

医院によって指示が異なるため、主治医の説明に従ってください。一般論として、砂糖を含む飲み物を少しずつ長時間飲むことはむし歯のリスクを高めるとされています。迷ったときは外してから飲み、口をすすぐか歯を磨いてから戻すようにしましょう。

e-ヘルスネットでは、6歳以上・成人はフッ化物イオン濃度1,400〜1,500ppmFの歯磨剤を、就寝前を含めて1日2回使う方法が示されています。歯や歯ぐきの状態によって勧められるものが変わる場合もあるので、医院でも相談しましょう。

むし歯の治療と矯正の進め方をどう調整するかは、歯の状態によって変わります。気になる症状があれば次の通院を待たずに主治医に連絡し、指示を受けてください。

まとめ

  • 食事のときは外し、食べ終わったら歯を磨いてから着け直すのが基本
  • 装着時間は治療の進み方に影響するため、医院が指示する時間を守る
  • むし歯予防は砂糖の量と回数の両方を減らすこと。甘い飲み物のちびちび飲みは避ける
  • 歯磨きはフッ化物配合歯磨剤を使い、歯と歯の間はフロスや歯間ブラシで
  • 装着中に飲んでよいものや外出時の対応は、主治医に確かめておく

参考にした資料

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