離婚で家を分けるときの税金と費用|譲渡所得・3,000万円控除・贈与税・登記の費用

木目のデスクに、電卓、書類、クリアファイル、ボールペン、ノートを整然と並べた俯瞰写真 離婚と住まいのコラム

家を財産分与で一方に渡すと決めたあと、意外と後回しにされがちなのが税金と登記の費用です。お金の受け渡しがなくても税金の計算が必要になる場面があり、渡す人と受け取る人とで関係する税目も違います。

この記事では、国税庁のタックスアンサー、法務局の資料、都道府県の案内をもとに、渡す人の譲渡所得、3,000万円の特別控除、受け取る人の贈与税と不動産取得税、登録免許税を税目ごとに整理します。金額や適用の可否は事情で変わるため、最終的には税務署や税理士に確認してください。

この記事でわかること

  • 家を渡す人・受け取る人それぞれに関係する税金の全体像
  • 財産分与が譲渡所得になる理由と、計算の組み立て
  • 居住用財産の3,000万円特別控除で確かめておく要件
  • 登録免許税・不動産取得税の計算と、住宅ローン控除への影響

渡す人と受け取る人で、関係する税金が違う

家そのものを渡す場合の全体像です。

税金関係する人扱いの要点
所得税・住民税(譲渡所得)渡す人分与した時の時価が収入金額になる
贈与税受け取る人通常はかからない。多すぎる分与などは例外
登録免許税登記を申請する人固定資産課税台帳の価格 × 1,000分の20
不動産取得税受け取る人都道府県の税。分与の性質しだいで扱いが分かれる

出典:国税庁 タックスアンサー No.3114・No.4414、法務局「登録免許税の計算」、滋賀県「不動産取得税Q&A」(確認日 2026-10-19)

渡す人:財産分与も「譲渡」として計算する

国税庁のタックスアンサー No.3114 は、財産分与が土地や建物で行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われるとしています。収入金額になるのは、分与した時の土地や建物の時価です。代金を受け取っていなくても、時価で手放したものとして計算する点に注意が要ります。

課税される譲渡所得は「収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額」で求めます(No.3208)。取得費は購入代金や購入手数料に、その後の改良費などを加えた額で、建物は所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。取得費が分からないときは、収入金額の5%を取得費にできます。

例:取得費(減価償却後)が2,800万円の家を、時価2,500万円の時点で分与した場合、収入金額が取得費を下回るので譲渡益は出ません。反対に、取得費1,800万円・時価2,500万円なら、差額の700万円が譲渡益の候補になります(いずれも説明用の架空の数字です)。

税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで分かれます。

区分(売った年の1月1日時点の所有期間)所得税住民税
長期(5年超)15%5%
短期(5年以下)30%9%

出典:国税庁 タックスアンサー No.3208・No.3211。所得税には別に復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかる(確認日 2026-10-19)

3,000万円の特別控除と、分与する相手との関係

マイホームを手放したときは、所有期間にかかわらず譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(No.3302)。財産分与も譲渡として扱われるため、この特例が検討の対象になります。

ただし要件の一つに、親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対するものでないことがあります。分与を受ける人がその時点でまだ配偶者であれば、この要件に当てはまりません。つまり、婚姻中に移すのか、離婚の成立後に移すのかで、特例を使える余地が変わります。

先に家を出た人が分与する場合は、期限にも注意が要ります。以前住んでいた家は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものが対象です。また、前年・前々年にこの特例などを使っていないことも要件です。

特例を使うには、譲渡所得の内訳書を添えて確定申告をします。特例で税額が0円になる見込みでも、申告は省けません。分与の日付と住んでいた期間を書き出し、日程を組む前に税務署へ相談しておきましょう。

受け取る人:贈与税は原則としてかからない

タックスアンサー No.4414 によると、離婚で相手から財産をもらっても、通常は贈与税はかかりません。夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づく給付で、贈与とは考えないためです。例外は次の2つです。

  • 婚姻中の夫婦の協力で得た財産の額やその他の事情を考えても、分与の額が多すぎる場合(多すぎる部分に課税)
  • 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合(もらった財産すべてに課税)

また No.3114 では、受け取った人は分与を受けた日に、その時の時価で家を手に入れたものとされます。将来その家を手放すときの長期・短期の判定も、分与を受けた日から数えます。

登記の費用:登録免許税

名義を移す登記には登録免許税がかかります。法務局の「登録免許税の計算」では、贈与や財産分与などを原因とする所有権の移転は1,000分の20です。土地の売買に使える軽減税率や、住宅用家屋の売買向けの軽減は、財産分与には当てはまりません(No.7191)。

課税標準は固定資産課税台帳の価格で、毎年届く固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」の欄を見ます。「固定資産税課税標準額」とは別の数字です。1,000円未満を切り捨てて税率を掛け、税額は100円未満を切り捨てます。

例:土地と建物の評価額の合計が2,000万円なら、2,000万円 × 20/1,000 = 40万円です(架空の数字)。司法書士に申請を頼む場合は、別に報酬がかかります。

不動産取得税:都道府県で扱いを確かめる

不動産取得税は都道府県の税です。東京都主税局は、有償・無償や取得原因を問わず課税されるのが原則とし、税率は令和9年3月31日までの取得で土地・住宅3%、課税標準は固定資産評価額(宅地は2分の1)としています。

財産分与で受け取った家を非課税とする条文はありませんが、婚姻中に夫婦で築いた財産を清算する分与は不動産取得税の「取得」に当たらないとする裁判例があり、東京都もその場合は課税しない扱いです。慰謝料や離婚後の生活保障の趣旨の分与、結婚前からの財産は課税されることがあります。

一方で滋賀県は、課税対象とならない例として「婚姻後取得された不動産の財産分与による取得が夫婦財産の清算を目的として行われた場合」を挙げています。分与の性質によって扱いが変わりうるので、協議書で分与の趣旨が読み取れるようにし、家のある都道府県の税事務所に確認しましょう。

住宅ローン控除への影響

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいることが要件の一つです(No.1211-1)。家を出た人は、この要件から外れます。

共有の家で相手の持分を財産分与で受け取った場合、No.1237 は、追加で得た持分も含めて控除の対象になりうるとし、その場合は改めて確定申告が必要だとしています。なお、家を渡した人が新しい住まいを買うとき、入居した年や前年・前々年に3,000万円の特例を使っていると、住宅ローン控除は受けられません(No.3302)。

よくある質問

国税庁は、土地や建物で財産分与をすると分与した人に譲渡所得の課税が行われるとしています。3,000万円の特例は確定申告をすることが適用の条件です。譲渡益の有無と申告の要否は、税務署で確認してください。

市町村から毎年届く固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」の欄です。明細書が見当たらないときは、市町村役場で発行する証明書で確かめられると法務局は案内しています。

国税庁 No.3114 では、分与を受けた日にその時の時価で手に入れたものとされ、長期・短期の判定も、購入した日ではなく分与を受けた日を基にします。

まとめ

  • 家を渡す人には、分与時の時価を収入金額とする譲渡所得の計算が必要
  • 3,000万円の特例は夫婦間の譲渡が対象外。分与の時点と居住期間を書き出しておく
  • 受け取る人の贈与税は原則かからないが、多すぎる分与などは例外
  • 登録免許税は評価額の1,000分の20。不動産取得税は都道府県に確認
  • 数字は評価額や取得費の書類でそろえ、迷う点は税務署や税理士へ

参考にした資料

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